灯火類・・・てのは、ヘッドランプとかブレーキランプとかウインカーとか、車の外側に装着されている電灯です。で、その灯火類は多くが「信号灯」なわけです。前照灯(ヘッドランプ)と前部霧灯(フォグランプ)は夜間等に前を照らすのが主目的ですが、他車に対する信号要素も含まれています。
電灯というからには電球を使います。古くは白熱球からより明るいハロゲン球、さらに明るいHIDが登場し今では省電力なLEDも使われるようになっています。いいですね、省電力で明るいならこれに越したことはありません。私もLEDは大好きです。バッテリーの負担も減りますしね。
LED良いところ悪いところ
夜間や暗いところでは明かりがあると安心です。近年LEDは照明分野でも発展しています。省電力で明るい為、例えば街灯を水銀燈からLEDに代替すれば電気代がかなり抑えられます。そして寿命も長い。ただしこの「寿命が長い」には条件があるんです。
LEDというのはとても小さな「電子部品」です。その一粒は許容電流が大体20〜50ミリアンペア、パワーLEDと呼ばれる特殊なものであっても最大2000ミリアンペア程度で、その許容電流ギリギリで使うと実は結構すぐに「切れ」てしまいます。
もともとLEDは2〜3ボルトで駆動する電子部品ですので、家庭用の100ボルトを直接つなぐと一瞬にして吹っ飛びます。飛ばないように「抵抗」などの電子部品をかませるんですが、そっちがかなり熱を持ちます。だからLED電球など表側には触れても裏側に触ると火傷するくらい熱くなります。そしてLEDは「熱に弱い」部品です。なので、明るさを保てるギリギリまで電流量を抑えて設計する(発熱を抑える)のが「長寿命」の条件になるわけですね。
自動車用LED
さて、自動車用電球もLEDがどんどん進出しています。
照明の明るさを示す単位として「ルーメン」「ルクス」「カンデラ」があります。ルーメンは日本語で言うと「全光束」でこれは電球そのものの明るさ。ルクスは「照度」で照らされた部分(ヘッドランプなら路面)の明るさ。そしてカンデラは「光度」で灯体が発する明るさ。・・・そして「保安基準」では「カンデラ」が基準なんですね。他車(他の交通)から視認される目的の信号灯。ヘッドランプはもちろんウインカーやブレーキランプ等もカンデラ値が保安基準で定められています。
ヘッドランプの検査
近年車検のヘッドランプ検査が「ロービーム検査」に換わりました。おかげで古い車などは特にヘッドランプ検査で落ちることもあるようです。何故でしょう?
これ白熱電球とかハロゲン球とかが暗い(古くなった)から、てのは大きな勘違いです。電球の明るさ以前にまず大前提として「カットラインが出ているか」が先です。

ほとんどの車のヘッドランプがプラスチックレンズになった今、経年でレンズが曇ってしまってカットラインが出ていない(レンズが曇ると光が散乱する)から測定機器がエラーを出し検査不能と判定され車検に落ちるんです。よって暗いから○万ルーメンの爆光LED!てのは、幻惑光も増えますから逆効果なんですね。また激安製品に多い微妙に光源位置がずれた粗悪なLED球もカットラインがちゃんと出ないので要注意です。つまりは保安基準の文言にもある「他の交通の迷惑にならない(=幻惑光を出さない)」が最重要です。明るすぎる=他車にとって眩しい。今でもまだ主流と言えるハロゲン球はおおよそ2000ルーメンだそうですが、それでもカットラインさえ出ていれば十分に車検に通ります。でなければ自動車メーカーも純正採用はしません。
レンズの曇りや粗悪なLED球は、光軸調整で何とかなるものではありません。爆光LED球に換える前にレンズを磨きましょう。レンズクリーナーも色々売っていますし、表面を研磨してヘッドランプ専用クリア塗料を吹くと言う手法もあります。
ちなみにLEDは熱ダレといって熱くなるとだんだん暗くなっていくという特性もあります(白熱電球やハロゲン球は熱には強く、熱くなっても光量は落ちません)。また、フォグランプを爆光に(手前を明るく)しすぎると相対的にヘッドランプ(遠く)が暗く感じます。ヘッドランプの方がフォグランプより明るめのバランスの方が前方が見やすくなりストレスなしに運転できるようです。